季節ハタハタ釣り苦戦日記(2020年)後編

12月12日 いよいよ季節ハタハタがやって来るかな~

 まだ本隊が姿を見せない季節ハタハタ。今後の天気予報と波浪予測が気になる。12月に入っても、この時期としてはウソのように穏やかな天気が続いている。しかし、天気予報によると、それも14日までだ。14日のお昼ごろからは陸上でも風速8m/sを超す季節風が吹き始める。そして海は大時化となる。その時間帯は、ちょうど大潮の上げ潮にあたる。上げ潮は夜まで続く。だから、この日は、夕方から夜にかけて季節ハタハタが大挙してやって来る確率は非常に高い。さて、いつ出動するかだ。
 この日から雪マークも続く。15日は零度以下の冷え込みとなっている。夜間の運転で、ホワイトアウトと路面凍結は大敵だ。釣り場でも厳しい寒さが予想される。防寒具は当然だが、靴も靴下も防寒バージョン。腰と腹を温めるホッカイロも揃えた。時には車の中に避難することも想定しなければならない。例年だが、車中泊もありと考えて寝袋を車に積んでおく。防寒具を着こみ、寝袋にくるまれば車の暖房を切っても耐えられる。
 あと迷うのが釣り場の選定。裏付けはないのだが、今季に限っては、各釣り場には一斉に季節ハタハタがやって来るような気がしてならない。できれば通いなれた酒田北港が一番だ。しかし、ここは秋田県県南地区に比べると例年1週間から10日は遅れる。象潟、金浦は、距離にすると酒田北港と大して変わらない。しかし、海沿いの道が続くので、強風、ホワイトアウト、路面の凍結が気になる。
 西目や本荘マリーナは圏外と決めている。自宅から遠いのが一番の理由だが、厳重な立ち入り規制だったり、狂気的な大混雑には腰が引けてしまうからだ。と、残るは象潟、金浦になってしまう。しかし、象潟は昨年に続く灯台側への立ち入り禁止規制に加えて水路入り口付近の護岸工事が重なって竿を出すのが難しくなっている。地元の住人によれば、それでも夜に結構人が入り込んでいるらしいのだが。
 金浦には港嶋、飛蚊港と2か所の釣り場がある。まず飛蚊港に群れがやって来て、それから港嶋の順になる。昨年は港嶋の水路を通って大群が入り込み、本港全体どこでも釣れたこともあった。

閑話休題 以下無用な事ながら・・・

 新型コロナの感染拡大が止まらない。季節ハタハタ釣りは接近戦だ。コロナ対策が必要だ。当然マスクは必須で、防寒具もウィルスを貰う恐れがあるので、自宅に戻ったら屋内に持ち込まず、屋外に吊るしておくことにしている。東京や大阪での街頭インタビューがしばしばTVで流されるが、殆んどの人が強い危機感を持っていないように見える。国家としては危険な兆候だ。
 go to トラベル、go to イート、・・・、政府は、経済の活性化のために、国民には死を賭してでも協力させると言ったスタンスだ。時の政権としてはそれも大いにありだ。いや、当たり前かもしれない。かつて赤紙一枚で国民を戦争に駆り立てたのに比べれば、今回は餌をぶら下げてある。我々はその意図を読み自己防衛しなければならないのだが、平和ボケした国民はあくまでも能天気だ。
 世界はこの機をのがさず、さらなる覇権を求めてせめぎあいをしている。敵はコロナだけではない。今は世界大戦真っ盛りなのだ。我々は協力するところは協力する、自己防衛するところはしっかりとそうする。そういう洞察力と行動が求められていることを意識しなければならない。・・・と、愚直に思う。

昨年12月6日の釣果


12月13日 道川漁港で500キロの水揚げ

 いよいよやって来ました。待望の季節ハタハタが。ABS秋田放送によれば、12月12日道川漁港で500キロを超す季節ハタハタの水揚げがあったらしい。ただし、港内にも入り込んで釣れたかどうかは分からない。ここは狭い漁港だ。例年過密な状態になる。だから、釣れたと聞いても出かけたことは一度もない釣り場だ。だが、季節ハタハタの接岸がいよいよだと言う実感が伝わってくる。それにしても八森や男鹿方面はどうなっているのか。例年ならそちらが先だが、まだそれらしい水揚げがあったとは聞かない。

 昨日も風がほとんどなく、時には日が射す穏やかな天気だった。一昨日、さきおとといと空振りだったので昨日は出かけるのを止めた。散歩がてら地元の波止を歩き回る。駐車場で良型のクロダイを3尾ぶら下げて帰ってきた釣り人に出会う。蟹の落とし込みで釣ったらしい。つい最近まで随分と混雑した波止も竿を出しているのは4人だけだった。先端で竿を振っていた釣り人はサゴシを4尾釣り上げていた。ルアーはミノーだ。
 波止から海中を覗いて気になるのが、今季はモクが殆んど生えていないことだ。昨年は、至る所にモクが生えて、釣りの邪魔になるほどだった。ハタハタはモクに産卵する。ハタハタがやって来れば、岸壁の喫水線付近に生えるモクにはブリコが付く。そして、このブリコの周りにオスハタハタが群がる。メスは産卵を終えるとすぐに深場へと戻っていくが、オスはしばらく居残る。ここにも釣りのチャンスがある。餌やワームで良く釣れる。
 さて、今日の予定だが、これから支度をしてでかけるか、午後からの時化と上げ潮に合わせてでかけるか迷っているところである。

追記:
 最新の天気予報は今日もハタハタ起こしの風が吹かないとなっている。そして、風が強まるのが明日14日の午後以降だ。15日からは猛烈な時化が予想されている。出かけるのは延期だ。

ABS 秋田放送の記事から


12月14日 本荘マリーナ

 夜半から激しい季節風と吹雪。床に入っても、待ちに待った季節ハタハタの接岸が今にもありそうな気がして落ち着かない。早めに朝食を摂り、暗いうちに家を出る。国道7号線を北上する。路上の雪を分けて黒い轍の後がくっきりと刻まれている。今年初めての雪道運転だ。慎重に車を進める。路面が凍結していないから運転は楽だ。
 まず、象潟漁港に寄る。水路にも波止にも人影はない。次に、金浦漁港だ。まずは、昨年大釣りがあった港嶋に車を停める。先行車が2台あったが、釣り人は車の中だ。人影がない漁協を通り過ぎて、本命の飛蚊港へ。横殴りに吹き付ける雪もなんのその、4~5人だが熱心にシャクリを繰り返している。だが、釣れている気配はない。駐車している車の数は10台を超すが、他は車の中で様子見だ。
 これでユータンでは諦めきれない。「せっかく出てきたから、本荘マリーナまで様子見に行って見るか」と、さらに北上を続ける。途中、西目漁港を覗く。外側の防波堤を超えて波が内側になだれ落ちる。大時化だ。今日も人っ子一人いない。
 
 いよいよ本荘マリーナに到着。駐車スペースは入り口付近しか残っていない。凄い人出だ。岸壁に沿いぐるりと人が並ぶ。もう割り込む余地がない。一番西寄り、外側防波堤のすぐ下が何故か空いていた。ここは一番のポイントのはずだ。端にいたおっさんに聞くと、そこのあたりまで時おり波が防波堤を飛び越えて落ちてくるらしい。この防波堤は高さが7~8mはありそうだ。海は大荒れだ。
 そのおっさんの話だと、昨日の午後1時ごろから季節ハタハタが入って来たらしい。今来たばかりだとは言っていたが、布バケツには4~5尾入っていただけだった。ズラリと竿の放列だが、見ていると10~20人置きぐらいの割合で竿が上がる。釣れても、一人1時間に10尾ぐらいのペースだろう。竿を出すのを諦めて、ちょうど正面方向、子吉川の側の防波堤に移動する。両手に半分ほどハタハタを詰めたゴミ袋を提げた若い釣り人とすれ違う。20キロはゆうにありそうだ。「何時から?」「6時ころ」。3時間ほどの間の釣果だ。相当忙しかったに違いない。
 こちら側の波止は短くて、せいぜい30人も並べばいっぱいになる。私が着いたときは、もう割り込む余地がなさそうだった。仕方なく手前の波止から投げ釣りだ。この波止は一段高くなっている。そのせいで風当たりが極めつき強い。踏ん張っていないと体が風に持って行かれそうになる。さらに悪いことに、糸が強風に流されて、思ったポイントに着底しない。狙いが定まらないのだ。そんなこんなで苦労しているうちに、根掛かりで二組も仕掛けをロスってしまった。そして、その間に釣れたのは3尾。3尾とも、産卵、放精を終えた痩せハタハタ。雪混じりの強風が一向に弱まらない。尻尾を巻いて退散だ。
 3尾とも、自製の仕掛けで釣れた。今季の自製仕掛けは十分使えそうだ。

 帰路、西目、金浦、象潟と巡ったが、どこも群れが入った様子はなかった。今夜以降に期待だ。本荘マリーナも夜に爆釣だったらしい。本当は夜が狙い目なのだが・・・。

 私の初物

大盛況の本荘マリーナ

私がいたポイントから撮ったもの


12月15日 金浦漁港に先発隊

 季節ハタハタの接岸は、大時化+大潮+深夜に満潮が、必要十分条件と言われている。まさに、今日もその条件にバッチリ当てはまる。日付が変わった頃に起きて外に出てみる。積雪は3~4センチだが、猛烈な吹雪だ。街灯の光の中を雪片が空に舞い上がる。防風林の松の木の枝が大きくしなる。諦めて布団に潜り込む。次善の策だが、朝マズメ狙いに変更だ。

 今季二度目の雪道運転。今日も慎重に車を走らせる。途中、車が後ろにピッタリくっついてきた。いやらしい奴だ。50~60キロで走っているから文句を言われる筋合いはない。無視だ。象潟漁港の入り口までマイペースを続ける。象潟漁港の例年の釣り場には、今日も人影はない。そのまま通過し金浦へと向かう。順路は、港嶋~本港~飛蚊港。港嶋では一人が竿を出していたが、車の中から見ているとすぐに竿を畳んでしまった。本港に通りかかると結構な車が並んでいる。港内に車を乗り入れてみると岸壁には人の列。ハタハタも釣れている。車のドアを開けて外に出ると体ごと持って行かれそうな雪混じり強風が吹き荒れている。正面の高い防波堤を超えて波が崩れ落ちる。あれだけの防波堤を波が超えるなどまずないことだ。

 風を遮ってくれる建物を探し、その陰に車を停める。まだ夜が明けていなかった。ヘッドランプを点けてポイントへ移動。ハタハタは光に集まる習性がある。周りとは距離を置いて、灯りの下で竿を出す。と、一投目で良型のメスが掛かってきた。20センチは超えている。以降、一時間10尾ペースぐらいでポツリポツリとアタル。向かい風が顔にモロに当たる。それも半端じゃない。時々体ごと持って行かれそうになる。雪が混じると目が開けていられなくなる。過酷だ。何度か車の中に避難する。
 周囲が明るくなるとアタリが遠くなる。雪混じりの強風は依然として吹き荒れている。潮が変われば再びアタリが出るはずだがギブアップ。正味二時間ほどの釣りになった。
 ハタハタ釣りの時期になるとよく顔を合わす象潟の住人と、別の場所だが今日もバッタリ会った。彼によると、金浦本港には午前1時頃季節ハタハタが入って来たらしい。ちょうどその時間帯を狙って行って、大型のブリコハタハタが半数混じって40尾ほど釣ったと言う。

追記:
秋田魁新聞によると、今日の金浦の季節ハタハタの水揚げ量は1トンほどあったらしい。先発隊と言うよりは本隊のようだ。

今日の釣果 最大のメスは24センチあった。


12月16日  隣の名人に脱帽

 ともかく冷たい。敵は真正面から攻めてくる。アラレ、雨雪、ミゾレが強風に乗って顔を直撃する。踏ん張らないと飛ばされそうになることも度々。何度も釣りを中止して車の中に逃げ込む。漁協の建物前は本荘マリーナ並みの混雑だ。午前4時前だと言うのにである。それでも、あちらこちらでハタハタが風に舞う。まさにハタハタだ。私もめげずに竿を出す。昨日の灯りの下はふさがっている。端っこで竿を出す。
 一投目に良型のブリコハタハタが来る。幸先が良い。テンションが上がる。しかし、その後はアタリが無い。残されたスペースは限られていたが移動しつつ群れを探す。が、どこにも濃い群れはいなそうだ。
 少し離れた場所に二人連れがいた。そのうちの一人はほぼ入れ掛かり。あ~、こんなのを見ると、簡単にマイペースを忘れてしまう。心情的メロメロと飛ばされそうな暴風雪に負けて、まだ暗いうちにこの場を退散。釣果はブリコ3尾にオス2尾。

 諦めきれずに港を半周して港嶋へ。ここの水路の西側は風陰になる。釣れても釣れなくても良い。そこで明るくなるまでいて、帰宅までの時間稼ぎだ。本格的な吹雪が続いている。暗い雪道の運転は苦手だ。
 お目当ての場所で、すでに一人が竿を出していた。シャクリ具合は相当のベテランだ。挨拶して隣に並ぶ。「ダメダメ」と言う割には1時間10尾前後のペースで釣っている。私は開始早々1尾釣れただけで、その後はまったくアタラない。隣と時々言葉を交わす。本荘の住人だった。私も秋田県生まれだから秋田県人は話をしてみると大体見当がつく。言葉が一番だが、人のなつっこさが全身に出るのである。もちろん、都会暮らしが長かった私はとっくに失ってしまっているものだが。
 先日は、地元本荘マリーナで小型クーラーボックス3個分ほど釣ったと言う。「すごいな~」と言うと、「何百キロも釣るから」ちっともすごくないらしい。こちらはまったく釣れないのに、彼はどんどんペースが上がる。「名人!」「腕が違う!」とぼやいていると、「腕じゃない仕掛けだよ」と言いながら自分の仕掛けを分けてくれた。あ~、やっぱり彼は秋田県人だ。なんかジーンとくる。この仕掛けに変えてすぐに1尾釣れたが、その後は再び沈黙が続く。残念ながら腕の差だ。諦めて竿を畳む。ここではオス3尾。

 帰路は朝よりも雪が多くなっていた。場所によっては轍が結構深い。運転は気が抜けない。なんとか無事帰宅したが、積雪が朝より増えていて10センチを超えていた。
 明日も今日と同じような荒れ模様だ。明日は休竿日にして仕掛けの改良だ。


12月17日 酒田北港に第一陣

 酒田北港の季節ハタハタが気になってしょうがない。日に何度かインターネット検索をするのが日課になっている。BSシネマの途中で、「季節ハタハタ」でキーワード検索。当たりました。上州屋酒田店の釣り情報。今日の正午前に水路に入って来たらしい。。BSシネマはヒッチコックの映画だった。それを中途で切り上げて酒田北港に向かう。着いたのは午後4時ごろ。南側から2本目の風車がターゲット。やはり、皆さんよくご存じだ。一本目から3本目までの駐車スペースはもちろん、道路に並行して広がるその付近の空き地も車で埋まっている。一本目と二本目の中間ぐらいの位置にある空き地に駐車スペースが空いていた。ポイントまでは遠いが、しょうがない。
 
 水路は予想通りナイアガラ状態。沖堤に当たった波が砕けて上空高く舞い上がり、それが堤防を越えて水路に崩れ落ちる。季節ハタハタ釣りの風物詩と割り切って、水路に降りていく。ナイアガラからの海水が水路の喫水線にと続く斜面の中間ぐらいまで這いあがっては引いていく。荷物の置き場所には注意だ。油断すると波にさらわれてしまう。舞い上がった海水が顔面を叩く。こんな大時化はかつてなかった。それでも、水路にはびっしりと釣り人が並びシャクリを繰り返している。頻繁にハタハタが強風に舞う。
 何とか割り込める場所が水路の降り口t近くに残っていた。そこで竿を出す。隣の一人は、ゴミ袋に1/3と布バケツに一つほどすでに釣っていた。多分15キロは超えている。「何時から」、「一時ごろから」。ほぼ3時間の釣果だ。接岸したばかりの季節ハタハタはまったく不用心にハリに掛かってくる。新群れはブリコがパンパンに詰まったメスが多い。大抵3割方混じる。これが、一晩で産卵を終えた痩せハタハタに変わる。接岸したばかりの新群れには特別価値がある。

 私事だが、今日も全くのスランプ。入れ掛りの隣に対して私はボウズが続く。自製の仕掛けを2種類付け替えてみても状況は変わらない。ついには、半分自棄で市販の安い仕掛けに交換。すると程なく第一号が掛かってきた。「オイ、オイ。最悪じゃないか」。奈落の底に突き落とされてますます意気消沈。
 私は癖のある釣り師だ。おそらく、私の個性が邪魔をしているに違いない。シャクリが難しいことはハナダイのコマセシャクリ釣りで経験済みだ。この釣りでも私は長く悩まされた。それでも乗合船の頭をを取ったことは一度ならずある。私の癖が利することもないわけではないのだ。釣りは奥が深い。

 閑話休題

 酒田北港の季節ハタハタはそれなりの大きな群れのようだ。結構広い範囲でまんべんなく釣れていた。おっつけ第二陣も期待できる。ここ何日かは目が離せない釣り場だ。

今日も見事なナイアガラ

今日の釣果(正味二時間)
今季はメスが見事なほど大きい
*スランプの中の貧果


12月18日  酒田北港 朝から大盛況

 今日一日は、久々に穏やかな天気になるらしい。このチャンスを見逃すわけにはいかない。思えば本荘、金浦、そして昨日の酒田北港と、極めつけの暴風雪の中での釣りだった。
 今朝は4時ごろから竿を出す。ハタハタも夜明け前後が良く掛かる。夜に第二陣が入っていれば束釣りも夢ではない。期待に胸が膨らむが、そうそううまくは事が運ばない。車から降りて水路を覗く。風車の灯りの下で竿を出す姿が見える。人の姿は、まだまばらだ。さて、釣れ具合だが、ハタハタは滅多に宙に舞わない。第二陣はまだで、掛かるのは昨日の居残り組のようだ。
 竿を出すも、今日も、私は周りに比べて見劣りがする。距離にして2~3mしか離れていないから場所ではない。今日は柔らかい竿に替えてある。皆さん結構軟調子の竿を使っている。今まで私が主に使っていたのはシーバスロッドだ。これは硬めだ。今朝は短めの投げ竿に変えた。だからシャクリに差はないはずだ。違うのは仕掛けだ。仕掛けの違い効くはずだ。釣り場に投げ捨ててある仕掛けは、矢島型のハリを使ったもの予想以上に多い。先日話を交わした本荘の達人も、矢島型だと普通のハリの3倍は釣れると強調した。矢島型は伝統的かつ洗練されたアユ掛けバリだ。

 さて釣況だが、ペースは昨日の半分。アタリが遠い。一人置いた左隣だけはかなりの確率で釣り上げている。場所はNPOが設置した産卵床のすぐ傍だ。場所もありそうだ。他人より釣れない時は、じっくり観察するのも良い。毎年シーズンも終わりになると、ああすれば良い、こうすれば良いといろいろノウハウがたまっているが、翌年になるとすっかり忘れてしまっている。
 今朝は、岸壁スレスレで釣ることもあったことを思い出す。仕掛けが根掛かりするリスクが大きいが、かつてこの釣り方が的中することも多々あった。ハタハタは岸壁に沿って移動するからだ。それに変えてからペースが上がる。25センチ級の良型のブリコハタハタは結構重量感がある。身切れしないように大事に抜き上げる。一荷釣りも二度あった。私にも、魚が仕掛けの傍を通過さえしてくれれば釣れるのだ。周りが明るくなると、それも続かなくなった。諦めて竿を畳む。大型ブリコハタハタが4尾混じって14尾の貧果だった。

 今日は暴風雪が大分和らいだ。しかし、酒田北港名物のナイアガラは相変わらず派手に水しぶきを送ってくる。足元を洗う波も昨日ほど高くはないが、それでも防寒具の裾はすぐにびしょ濡れだ。時おり大きな波が来て、クーラーを流されそうになった人もいたから注意だ。見ていると比較的波をかぶらない場所もある。釣れることとは必ずしも両立しないが、そんな場所で竿を出す選択肢もある。是非是非、ご安全に。

今朝7時頃の酒田北港


12月19日  季節ハタハタ釣り 余聞

 このブログを始めて3件目のコメントを頂いた。投稿者は、季節ハタハタ釣りにはかなりの経験と造詣がある方のように見受けられる。季節ハタハタ釣りに関するブログでは、私が隣人に引けを取り、意気消沈している文章が、毎回出て来る。それに対するような言及もあった。その中で、ハットする一文があった。それは後述する。

 恥ずかしながら、度々講釈を書く割には、この釣りは、他の釣りもそうだが特に季節ハタハタ釣りは、ファクターが多くて、まだ自分なりのスタイルが十分確立していないのである。私の季節ハタハタ釣りは当地移住後から始まった。だから、今季で6シーズン目である。地元の何十年生に比べれば、まだ小学生だ。秋田県内陸部の出身だからハタハタは年に一度の大御馳走で、子供のころからのいわば憧れの魚だった。都会暮らしを始めてからだったが、ハタハタが岸から釣れると言うことを知ってからは、ハタハタ釣りが、様々な釣りをしてきた私だが、心の奥で最終目標になったようだ。おそらく、今の場所に移住したのも潜在意識の中にハタハタ釣りがあったからだと思っている。移住先を選ぶにあたっては、男鹿、潟上、にかほと随分探し回った。思えば、どこもハタハタと関連付けが出来なくもない。

閑話休題

 さて、昨日釣り上げた十数匹のハタハタだが、隣のHさんに全部おすそ分けした。大黒様には間に合わなかったが、25センチ級のブリコハタハタも混じっていたから随分と喜んでくれて、その日のうちにカブとダイコンのお返しがあった。あと、近所ではWさんとMさんにも届けたいのだが、さっぱり数が釣れなくて保留状態だ。他に秋田県内陸部に住む中学の同級生宅が3軒も残っている。
 私はあまり人づきあいが好きでない。それでも、釣った魚を介して何人かとはつながっている。釣りに出掛けるには強い意志が必要で、釣っている最中は精神の集中と体力が要る。高齢者に括られている私には極めつきの老化防止対策になっているはずだ。随分と長い間高い授業料を払い続けてきたが、釣りは本当に一生ものだとつくづく思う。

 釣りに付随して、私には料理の趣味がある。現役時代は単身赴任が多かったせいもあるが、釣った魚を自分で処理しなければならなかったこともある。今では、ハゼやキスなどの小魚からサケやタラなどの大型魚まで捌くことが出来る。
 私のハタハタの食べ方だが、まずは味噌田楽で、ついでしょっ汁鍋、しょっ汁は本場のしょっ汁の代わりにニョックマムやナンプラを使うことも。あとは、キムチ鍋も良い。私は韓国で8年ほど仕事をした。そのせいでコチュジャンをベースにしたメウンタンが好物なのだ。
 居残りの痩せハタハタは三枚におろして天ぷら、フライに。三枚おろしは冷凍しておくと随時取り出して使える。保存食としては、鮓とぬか漬け。特にぬか漬けは大好物なので、毎年大量に漬けることになる。発酵のうまみと水分がほどよく抜けて旨味成分が凝縮するので絶品に仕上がる。おふくろの味と違うところはザラメを多めに加えることだ。

 講釈はさておいて、まずはハタハタを、そこそこ釣らないと始まらないのである。ブログのコメントからのヒントだが、「仕掛けを流す・・・」とあった。私もシャクっている最中の他人の竿先の曲がりを気にすることがある。「うん・・」ありだなと思った次第である。


12月20日  釣りの極意閃く

 今回の寒波は半端じゃない。家の中に居て時々外の様子を見に出るのだが、外気の冷たさ、ヒュウ―ヒューと金切り声を出して通り過ぎる強風、視界をかき消すように舞い揚がる雪。釣りキチの私でも腰が引けてしまう。昨日は休竿日。今朝も起床早々天気予報を見たのだが、昨日と変わらない。多分休竿日だ。だが、今この時、酒田北港にも、金浦にもハタハタは来ている。何とも落ち着かない。

 釣行計画を立てる時は、いつも10日間天気予報を見る。それによると、21日月曜日の午後からは、それまでは日中でも0℃前後で推移していた気温が3~4℃と上昇する。加えて風も6m/sとやや小康状態になる。あとは、気になるのが潮回り。この日から小潮が続く。酒田港の満潮が6:30と21:42、干潮が14:08だ。それぞれの前後1時間ほどは潮止まりで、普通は魚の動きが止まる。狙いとすれば、15:00~21:00或いは24:00~6:00の間になりそうだ。
 翌22日火曜日は終日雨。しかし、終日、気温は4~6℃、風速も1~2m/sと、雨対策さえ完璧なら好条件だ。この日の満潮は7:52、22:13、干潮は14:51が一回。狙いは17:00~21:00或いは24:00~7:00の間だ。
 23日水曜日も良い。特に午後からが午前中の雨も止んで、気温も7~8℃と上昇する。居残りのオスを釣ることになると思うが、飛ばされそうになりながら顔に風雪をまともに受けることは避けられそうだ。潮時だが、満潮が9:22、22:42、干潮が5:04、15:34となっている。夜の方が釣れる確率は高いから、17:00~22:00或いは24:00~4:00が狙い目だ。

 さて、冒頭の極意だが、これは全くの独善でベテラン諸氏には笑われるかもしれないが、早く試したくてしょうがないのである。度々経験することだが、仕掛けを入れ直した時に掛かることが多い。以前、群れを見ながら釣りをしたことがあった。その時は、落ちていく仕掛けにハタハタが敏感に反応する場面を何度も目にしている。釣れる確率が高いのはそのせいとばかり思っていた。だから時々空で巻き上げては入れ直すことなどもしていたのだった。
 だが頂いたコメントやら、隣の達人の竿先の動きなどを思い合わせてみて、私に釣れない理由が閃いている。私は船釣り主体で半世紀も釣りを楽しんできた。船釣りの多くは胴付き釣りである。だから、根掛かりを避けるために着底したら素早く底立ちを取るのが鉄則だ。私にはこれが習慣になっている。ただ、いくら気を付けても、着底時は少しは糸ふけが出る。この糸ふけがハタハタをスレで掛けるのに有効だったのだ。と言うのが私の仮説である。
 シャクリ上げて竿先を元に戻して一瞬待つのだが、今になってだが、この時に竿先が水平になっているいくつかの場面が目に浮かぶ。根掛かりのリスクとの兼ね合いだが、フワリと糸フケを出す、聞くようにして竿を立てる、これの繰り返しと、そして時々大きく竿をシャクって底立ちを取り直す。多分、これで私の季節ハタハタ釣りも状況が一変するかもしれない。・・・などなど、釣りに出掛けられない暇に飽かしていろいろ考えてしまうのである。


12月21日 地震のせい? ハタハタ舞わず

 夜中に起きて外を覗く。欲目かも知れないが、ここしばらく吹き荒れた暴風雪もやや小康状態にもなったようにも見えてしまう。今日は、夕方から夜にかけて季節ハタハタ釣りに行くつもりだった。それまで待てずに、即釣り支度だ。
 酒田北港に着いたのは午前3時ごろ。南から数えて2本目と3本目の風車付近の駐車スペースは、例の通り満車だ。が、そこから離れるとガラガラだ。嫌な予感がする。不安が的中。車から降りて水路を覗くとほとんど無人状態だ。竿を出している人は10人もいない。ほとんどが車の中で様子見なのだ。
 それでも、せっかく来たからと竿を出してみる。名物のナイアガラは相変わらず豪快に飛沫を吹上げ、流れ落ちてくる。その度に足元を波が洗うが、前回のように膝近くまで上がってくることはない。確実に天候は回復している。反応が無くて30分ほどの間に2度場所替えをする。風車の灯りが届く場所も、産卵床の近くも全くアタリが出ない。他の人の竿にも一向にハタハタは舞わない。

 さっさと切り上げて金浦に向かう。途中象潟漁港を覗く。少なくとも水路近辺には人影が無かった。素通りして金浦本港へ。いつもなら漁協の周りは駐車した車で溢れんばかりになる。ところが、今朝は無人状態。前回私が竿を出した漁協の南側で竿を出している人は二人だけ。暫時車の中で様子見だ。待てども二人の竿には一匹のハタハタさえ舞わない。ここはパスして港嶋へ向かう。
 
 水路の東側の駐車スぺースにはたった二台の車しかない。二人連れと一匹オオカミが、それぞれ水路の両側に分かれて竿を出している。私は橋を渡り、前回の場所に向かう。そこは風陰になるからそこそこ快適だ。先行者に挨拶をして隣で竿を出す。が、しばらくしても、隣にも、私にも全くハタハタの気配がない。地元のベテランに見える隣は「帰った方が良さそうだ」と早々に帰り支度だ。「昨日も良くなかったようだから」とも。それを聞いて私も竿を畳む。

 帰宅して我家の玄関を開けると「出かけた直後に地震があったよ。どうだった?」と、珍しく家内が出迎えた。地震があると魚が釣れないと云う経験をしている。昨日も今日も、もしかしたら明日も、地震のせいで釣れないかも・・・。そんな事を思いながらも釣り道具は車に入れたままだ。

追記:酒田北港 夕方もハタハタ舞わず
 午後4時ごろ再び酒田北港を覗く。100台近い車が並ぶも竿を出している人数はその半数以下。誰にも全く釣れていない。明日の釣行は迷ってしまうな~。もう一荒れが来て、それに乗じて第二陣がやって来るのを待つか・・・。


12月22日 釣り場を巡るも

 昨日の午後あたりから、一転、庄内は穏やかな天気になっている。国道7号線は雪が消えて地肌が出ている。未明の釣り場通いも苦にならない。昨日の様子見から、今日も期待できないと分かっていても一縷の望みは捨てきれない。家内と夜明けのコーヒーを飲んで、おもむろに釣り場へ向かう。

金浦漁港
 まずは、金浦へ。途中、いつものように象潟の水路を覗く。まだ、午前5時前だというのに西側の水路では重機が動いていた。釣り人の姿は今日も無い。それにしても、国道7号線から外れて象潟漁港に向かう道の除雪は杜撰だ。10センチを超す積雪が覆おう道路には轍が錯綜し、車のハンドルが左右に振られる。
 金浦では、漁協の北側で3人が竿を出していた。「今来たばかり」と云う釣り人はまだ型を見ていなかった。他の二人も気配は皆無だ。すぐに港嶋に向かう。ここには2台の先行車があった。着いたばかりのようで後部ハッチを開けて釣り支度をしていた。水路に降りてヘッドランプを照らすと水中が見える。水路伝いに魚影を探す。無風状態で海面は鏡のようだ。潮の流れも止まっている。残念、どこにも魚らしい影は見えない。竿を出さずに金浦を後にする。

吹浦漁港、女鹿、鳥崎
 地元吹浦漁港にも年に1~2度は季節ハタハタが入ってくる。狙いは凪の日。金浦からの帰宅前に吹浦漁港に寄ってみる。第一堤防の内側には0.5m前後の波が打ち付けている。波が高すぎる。ここは見送りだ。
 第三堤防に向かう。内側は波が静かだ。岸壁に生えたモクが手がかりだ。しかし、波気があり、潮が濁っているのでよく見えない。去年は、ブリコが幾つかくっ付いているのが見えていた。モクの周辺を探ってみる。しかし、反応はない。そのうち一人の釣り人が追い越していった。まだ、若い。ハタハタスズキ狙いかと思ったら、去年新群れを釣った実績のある周辺で竿を出している。が、すぐ返って行った。彼もハタハタの様子見だったのだ。私もその場所を探ってみたが反応はゼロ。この場所で、去年は餌釣りとワーム釣りで何日間は楽しめた。明日も凪の予報だ。今日はひとまず退散だ。
 金浦からの帰路、女鹿と鳥崎も車中から見てみたが釣り人はいなかった。

酒田北港
 一旦帰宅し、朝食を摂り、小休止。上げ潮に合わせて午前10時ごろに家を出て酒田北港に向かう。水路脇にはびっしりと車の列。着いた途端に雨脚が急に強くなる。傘を差しながら、「さては新群れか」とはやる気持ちを押さえて水路を覗きこむ。水路には100人をゆうに超す釣り人がズラリと並びシャクリを繰り返している。が、ちょっと緊迫感に欠ける雰囲気だ。三々五々引き上げてくる釣り人もいる。竿を出さずに水路の降り口の高みで下をのぞき込む人々もいる。全く釣れていないのだ。早々そこを後にする。
 去年は温排水路側の小さな港の中で、オスだけだったが100尾を超す好釣りもあった。そこへと向かう。着くと、温排水路に一人、実績のある港内に一人竿を出していた。私も車から降りて釣り支度にかかる。ところが酷い異臭だ。工場からの排ガスだ。たまりかねてそのまま退散。毎年この匂いに悩まされる。それにしてもい毒々しい、や~な匂いだ。環境基準をクリアしているのかな~。

今日の午前11時ごろの酒田北港


12月23日 酒田北港 大漁旗揚がらず

 「昨日、一昨日とボウズよ」と、様子見の私の隣のおっさん。竿を出す気はないらしい。見れば、午前5時前だと云うのに、50人を超える釣り人が水路に沿って並ぶ。私がここに佇んでから10分は経っている。その間、上がったハタハタは1尾だけ。「帰ろう」と、いつもの弱気が誘惑する。「風も無い、波も無い、顔に当たるアラレも無い」と、もう一人の私。今日は餌釣りの準備をしてきた。「これでやってみるか」と、水路に降り立つ。釣り人は、上州屋酒田店ご推奨の風車2番目と3番目の間に集中。空いている2番目と1番目の間に入る。同場所で粘るも全くアタリが無い。ハタハタはいない。間違いなくいない。それなら、攻めに転じて、NPOが設置した産卵床まで探り釣りだ。結構な距離だ。丹念に餌を流していく。が、1時間ほどしても反応は皆無。諦めて場所移動だ。
 途中で集魚灯を灯してシャクリを繰り返すプロがいた。さりげなく近づいてバケツを覗いてみる。10尾ほど入っていた。寂しい限りだ。進むと、もう一組水中集魚灯組がいた。隣には別人が竿、クーラーを置いて場所取りがしてあった。その隣で竿を出す。・・・釣れない。・・・釣れない。結局、午前7時頃まで粘って、3年物のオスが1尾。三日続きのボウズは免れたが、何とも情けない。
 私が竿を畳む直前に場所取りをしていた釣り人がやって来た。あれよあれと言う間に2尾ゲット。今日も自信を無くして家路につく。

 波が治まった日は、火力脇の防波堤にハタハタの群れが回遊する。昨日は1人、今日は2人竿を出していた。しかし、昨日も、今日も、ハタハタは回って来ていないようだった。


12月24日 酒田北港 水中集魚灯がお好き

 午前5時ごろ。国道7号線から外れて火力側から進入し、直角に折れて水路沿いに車を走らせる。と、北側2本目あたりに車が集中して停めてある。気になって車を停めてのぞき込む。水路の降り口付近に二人の釣り人が程よい間隔を空けて竿を出していた。すぐに、一人が立て続けに2尾ハタハタを上げる。「お!今日はいけるか」と勢い込んで二人の間で竿を出す。しかし、30分ほど粘ったがカスリもしない。その間、件の釣り人は2尾追釣。もう一人も1尾上げた。「あ~、腕が違う」と、またまた迷路に。引き上げる時に気が付いたのだが両側の二人とも水中集魚灯を沈めていた。「なるほど、彼らだけに釣れるのは腕だけじゃなさそうだな」と納得。私に限らず、彼ら以外は全く釣れていなかったのだ。
 そこを後にし、温排水路側で餌釣り仕掛けで探り釣りをするも全く反応が無い。さらに、南側の水路入り口付近を広く餌で探り釣り。が、ハタハタもさることながら魚の気配は皆無。前日同様午前7時頃に納竿。ボウズで帰路に就く。

追記:
 午前中、買い物で象潟、にかほへ。途中道の駅象潟「にかほっと」の土田水産の店頭を覗く。土田水産ではいつもプロが目利きした良質の魚が買える。この日も見事な季節ハタハタが箱売りされていた。メスがキロ2千円、オスはキロ4~500円か?店頭は買い求める客で大賑わい。聞けば、これが今季最後の季節ハタハタだとか。昨日で漁は打ち止め。網を引き揚げるから、これからは、季節ハタハタの群れはすべて港内に入ってくる。チャンスだ。

今朝7時頃の酒田北港である。

 手前に見えるのは南から2番目の風車。2番目~3番目の間で竿を出している釣り人は10人に満たない。そして、誰の竿にも季節ハタハタは舞わなかった。私はオキアミ餌をぶら下げて水路沿いに探り釣りをしたが、いつまで経っても餌はそのままだった。

 初めに竿を出した水中集魚灯組のあたりには、まだ釣り人が集まっていた。が、ハタハタは舞っていなかった。


12月26日 今季初の入れ食い 堪能

12月25日 某所(訳アリにつきご容赦を)

 未明、酒田北港に見切りをつけて、秋田県県南地域に向かう。いつもの視察ルートを順にたどる。最初に着いた某所の水路は相変わらず無人。しかし、灯台側にはいくつかヘッドランプの灯りが見える。ここをスルーして次の場所へ。ここでは誰一人として竿を出していない。即ユータンして最初の場所に戻る。辺りがやや明るくなっていた。ヘッドランプがチラチラしていた場所には10人ほどの釣り人が並んでいる。最初に覗いたときはよく見えなかったが、今ははっきりと見えて、頻繁にハタハタが舞う。「しまった。最初からここにすれば良かった」。ここは訳ありなので敬遠していたこともあった。しかし、背に腹は掛けられない。毎日のように、酒田だ金浦だと通っているが、今季の釣果は合わせて50尾にも満たない。

 やはり、行って見ると、場所限定だが、入れ掛り状態だった。大きな布バケツ半分ほど釣り上げた釣り人に尋ねると「5時半ごろから」だという。100尾は軽く超えていそうだ。足元よりはチョイ投げで釣っている人が多い。私の立ち位置のすぐ先には産卵用の網が入っている。まずは足元で釣ることに。水深は2mあるかないかだ。右隣はチョイ投げ。1時間に20尾ペースの感じで好調に上げている。しかし、私はその1/3のペース。まだ、コツが掴めていないのだ。もちろん、入れ掛り組は、そこに濃い群れが居るだけの話なのだが。そのうち、入れ掛り組も一段落したらしく、隣にそのうちの二人が移動してきた。そして、一人は、これ見よがしに、次々と足元で釣って見せてくれるではないか。私が渓流釣りに使っているルアー竿相当の柔らかい竿で、チョンチョンと小刻みに竿先を揺らしているだけで、次々と掛かってくる。またまた、迷路だ。それにしても、柔らかい竿を使っている人がどこでも多い。かつて磯竿で良い釣りをしたことがあった。ただ、この竿は5.4mと長いので風が強い時はあおられて使いにくい。だから、今年は車にはいつも積んでくるが、まだ使っていない。正味二時間ほどだったがオスばかり15尾の貧果。3年物が主体で良型がほとんどだった。

 夕方、再び某所へ。車から道具を取り出しているところ二人組が帰ってきた。彼らも庄内Noの車だった。私の先に停めてあったのは山形Noだ。こんなのを見ると、地元の人も感じるところが多々あるだろうな。概して、山形衆はマナーが悪いと云うことが定着しているし。無神経な車の停め方、やらずぶったくりの釣り方、サビキの残骸は散らかし放題、・・・などなど。

 閑話休題

 釣り場に向かう前に、二人連れと話を交わす。昼間はじっと酒田北港で我慢したがボウズで、こちらに回ったと言う。ここでは2時間で6尾。「無くした仕掛けの数と同じだ」と苦笑い。チョイ投げは仕掛けのロスが多くなる。こちらは夕マズメに期待だ。昼間は概してハタハタは釣れないものだ。
 朝よりはずっと端っこしか空いていない。とりあえず竿を出す。釣れているのはごく限られた場所だけ。周りはほとんど釣れていない。私も30分ほどで2尾と振るわない。ボツボツ帰り始めている人もいるから、いい場所が空いたら移動だ。辺りが暗くなった頃、朝に竿を出したあたりにいた二人連れが帰って行って空きが出来る。そこに場所移動だ。ここだと目の前に網が張られていないからチョイ投げも自由だ。まずは、好調に釣れているチョイ投げから開始だ。オモリが軽いのと風に糸が流されるのとで着底が取りにくい。勘で糸の出を止め、軽く聞くように竿をあおる。と、一投目からヒット。以後、一投ワンヒットが続く。ダブルもある。潮の流れもある。仕掛けが流され、海中を漂い、それにハタハタが引っ掛かるパターンを思い描く。この釣り方の難点は、根掛かりが多いことだ。ハタハタが群れる場所は海藻が生える障害物の周りだ。だから致し方ない。魚が釣れている時は根掛かりが少なくなるのが救いだ。
 ややアタリが遠のいた6時ごろに、根掛かりを機に竿を畳む。普通サイズの布バケツに7~8分目。後で数えたら57尾あった。正味1時間ほどの間の釣果だ。今季初めて満足のいく釣りになった。


12月27日 某所 爆釣続く

 未明、午前4時頃、某所に到着。昨日は休竿日。一日置いての釣行だ。風が殆んどない。国道7号線も乾いていた。季節ハタハタ釣りの気候としては稀だ。
 予想した通り、青灯側の堤防にはヘッドランプが点々と並んでいる。そして、今までは人影を見ることもなかった水路の入り口付近にも人の列だ。そこは工事半ばで、土嚢が詰まれている場所もある。そこにも釣り人が入り込んでいる。水路には街路灯が点っている。人々の所作が良く見える。ひっきりなしにハタハタが宙を舞う。誰もが入れ食い状態だ。

 車の中から近くの若者に声を掛けてみる。「釣れた?」「バケツ一杯」。何時から始めたかなどは聞きづらかった。今、爆釣の真っ最中なのだ。水路の反対側が空いて見える。そこに行くには車をおいてからしばらく歩かなければならない。関門も設けてある。でも、しょうがない。そちらに回り、湾口から離れた一番端で竿を出す。湾口付近は皆入れ掛り状態だ。しかし、そこに割り込みをかけるにはプライドが許さない。諦めだ。
 ここは街灯の近くだ。ハタハタは灯りにつられて寄ってきているはずだ。以前実績のあった餌釣りを試してみることにする。少しづつ歩きながら群れの有無を探る。魚がいれば必ず餌に飛びついてくるはずだ。程なく1尾がハリを咥えて上がってきた。しかし、2尾目はなかな来ない。しばらくして同場所で2尾目がかかったが、効率が悪すぎだ。これを機に餌釣りを断念。

 ハタハタは湾口付近に集中しているようだ。湾口付近の集団の隣でサビキ仕掛けを垂れる。オモリが着底したまま糸ふけを出し、聞くようにシャクル動作の繰り返しだ。1時間に10尾前後のペースで釣れてくる。すでに竿を出して中型クーラーに1/3ほどハタハタが入っている隣は私の倍のペースで上げている。入り口に近いほどペースが上がっている。一に場所、二に場所、三に場所だ。
 先端で入れ掛り連発している釣り人のさらに先っちょに、ちょうど一人は入れるようなスペースがあった。断りを入れてそこに入れてもらう。背に腹は代えられない。
 彼は昨日の午後10時から釣り始めたと言う。並のクーラーと、ゴミ袋と、並の布バケツにパンパンにハタハタが詰め込んであった。「皆青灯側に行くから、ここは最初一人だったよ」。彼にハタハタ神が運をくれたようだ。この周辺は、いまだに工事中で皆が敬遠していた場所だ。
 それからは、私にもハタハタ神が微笑んで、先日の入れ掛りパターンが始まる。チョイ投げして竿を立てると、もう掛かっている。それでダメな時は、二、三度シャクルとドシッと来る。三年物主体の良型揃いだから手ごたえも十分だ。潮が流れ出してからはリールを巻くにも結構な力が要る。

 明るくなり始める時分になると網船が水路を通り始める。その網船が水路を出外れたすぐ目の前に網を下し漁を始める。そして、ほんの短い時間で、重ねた大樽にハタハタを満載して帰っていく。その船がハタハタを港に水揚げするとまた漁に出ていく。三隻の網船が変わるがわるこれを繰り返す。数日前に、道の駅象潟の「にかほっと」の土田水産を覗いたときに「季節ハタハタは昨日で終わり、網を上げた」と聞いていた。大きな群れが入ったために急遽再開したようだ。

 さすがに明るくなると、さしもの猛攻も一段落。他はまだ熱心に竿を出したままだが、私は潔く納竿。今日の入れ掛りタイムは一時間ほどだった。帰宅して数えたら62尾。内、メスは2尾だけ。今日もご近所への普段の義理返しに季節ハタハタは大活躍だ。


12月29日 さしもの某所も 一段落

 この3日間、某所では釣り人もさることながら網船も繁忙を極めていた。初日などは、季節ハタハタを溢れんばかりに詰め込んだ大樽が甲板を埋め尽くした網船が目の前を何度も通り過ぎて行った。「あ~、これでハタハタはどんどんいなくなってしまう」と、愚痴が出る。

 今朝も薄闇の中を網船が目の前を通って漁場へと向かって行った。だが、今日は一隻だけだ。昨日までは3隻がフル操業だった。いやな予感がする。今朝の網船の最初の漁場は、青灯近くの岸壁で釣りをする人々のすぐ前。チョイ投げすると届きそうな距離だ。「釣り人たちの心中や如何に」だ。私も地元の漁港で似た経験をしている。凪の日でハタハタの群れが岸壁からよく見えていた。我々は、右になり左になり、その移動する群れめがけて仕掛けの上げ下ろしを繰り返していた。そこに漁師が割り込んできて船から刺し網を仕掛けたから、必然的に網揚げまでは釣りは中断。ようやく引き揚げられた刺し網にはハタハタがズラズラと掛かっていた。が、後の祭りで、そこそこの集団だった群れは完全に姿を消してしまっていたのである。

 昨日は朝に続いて、夕マズメを狙って釣行。青灯側の岸壁は鈴なりの釣り人だが、水路には一人、二人。閑散としている。朝に竿を出した場所も空いている。即、そこに移動。朝は水路入り口からほど近いチョイ投げエリアでよくアタッタ。まず、そのエリアを攻めてみる。がダメで、沖目を狙っての遠投に切り替えだ。これが的中。ほぼ入れ掛り状態だ。そのうちに、隣に酒田から来たと言うおしゃべり好きのお父さんがやって来た。彼は足元狙いだったが、釣れないからと早々に帰って行った。
 次に、青灯側からの移動者がやってくる。私の釣れ具合を見て遠投を始めたが、立ち位置がちょうど投入時の私の仕掛けが舞う位置なのでご遠慮願う。遠投はやみくもにあちらこちらと投げているわけではない。探って、群れの居るポイントを見つけて、そこに集中的に仕掛けを送り込んでいる。隣に人が入ったからとて道筋を変えるわけにはいかないのだ。
 彼は私の釣れ具合が気になるらしい。後ろ向きで竿を出している私の周りで彼のヘッドランプの灯りが行ったり来たりする。本来、ヘッドランプは手元足元を照らす道具なのだが、真正面に向けて意気揚々とやって来るまぶしい釣り人に時々出会う。
 夕マズメも過ぎややアタリが遠のいたころに、二人連れがやって来る。それを潮に竿を畳む。25センチ超のメス一尾と、3年物主体のオス50尾の釣果だった。

 そして今朝。4時ごろから竿を出す。昨日の私の場所には先行者が居た。そして、盛んに上げている。仕方なく反対側へ。ハタハタがたまるポイントに遠投するかたちになるが、根掛かりが激しいので苦戦する場所だ。立て続けに2尾釣れて、以降立て続けに根掛かりで3組の仕掛けを失う。そこは断念して、別のポイントを探る。昨日釣ったポイント近くだ。反対側にいる先行者は岸寄りの根に近い辺りを攻めている。時々根掛かりするが上手に外している。若そうだがかなりの熟練者だ。やはりハタハタは藻場の近くに集まっている。これを攻略するにはかなりのテクニックと集中力が要る。私には難しい。
 
 結局安全地帯での釣りに終始して、3時間で12尾の貧果だった。私の側の釣り人は入れ代わりだったが私を入れて4人。先行者の側は2人。青灯側も昨日に比べたらダントツに少なくて20人ほど。ほとんど釣れていなかった。ここも一段落のようだ。


12月29日 我家のハタハタ鮓

 昨日で、一応2020年の私の竿収めとなった。移住後、その年の〆の釣りはずっと季節ハタハタだ。去年金浦で大釣りして、今年もそれを期待したが、ついに鰰神は微笑んでくれなかった。不徳の致すところである。一番の要因だが、常に釣り情報の収集は怠らない方だが、強欲に欠けるところがあるのだ。
 今年酒田北港に第一陣がやって来た時も、その日の夕方にはその情報をつかんでいた。本来なら徹夜覚悟で出かけるべきなのだが、私はそれをしなかった。行っていれば、ブリコ混じりで三桁の釣果は期待できたはずだ。私が釣りに集中できる時間は、釣れても釣れなくてもせいぜい3時間が限界だ。この時も、いつものパターンで、翌日の朝マズメ狙いとなった。夜通し釣って、全身がリズミカルな機械と化している先行者の隣に行っても、勝敗は明らかだ。大抵竿を出してから調子が出るまでには少し時間が要る。その間、隣との差に愕然として、「ああでもない、こうでもない」と考えすぎて迷路に入り込む。

 閑話休題

 一昨日、昨日と釣った季節ハタハタが5キロほどあった。それをハタハタずしに仕込んでいる。参考にしているんが下の写真の情報だ。

 このHPには、他にも秋田県の伝統食のレシピがいっぱい掲載されている。秋田県人で料理好きの私には見逃せない情報源だ。多くは保存食についてなので、どれも塩分が極めつき多くなっている。今は冷蔵庫、冷凍庫が普及しているから、塩加減だけは「俺流」としている。
 
 ①頭と内臓を取り、流水(水道)にさらしてヌルや血を洗い流す。ヌルはしつこいので、流水に晒す前に塩もみしておく。
 ②2日以上軽く重しをして塩漬けする。塩の量はHPとほぼ同じだ。
 ③塩出しは、まず手もみで表面の塩分とヌルを洗い流し、水を切った後酢につけて本格的に塩出しをする。時々酢をなめてみて、頃合いを見極める。酢につける時間はHPのレシピに従う。ただ、今年のハタハタは大きいので、中骨が柔らかくなるのを見極めながら時間を決めようと思っている。
 ④いよいよすしご飯の中に漬け込みだ。すしご飯の調整だが、塩加減はHPのレシピの1/3に減らしている。あとはレシピに準じる。漬けけ込む前にハタハタは一口サイズに切っておく。
 ⑤漬け込みだが、笹の葉を仕切りにして、すしご飯~ハタハタの切り身~すしご飯と、一層ずつ積み重ねていく。そして、最後に重しをする。日にちが経つと水が上がってくる。これを順次掬っては捨てる。
 ⑥一月ほど漬け込むと完成だ。我家のは塩分が薄いので、容器から出して冷凍庫に入れて保存する。
 

 あと俺流のアレンジは、すしご飯の作り方だ。人肌ぐらいに冷めたご飯に麹を混ぜて、炊飯器を保温にして5時間ほど置いておく。その間発酵が進むので本漬けも早く仕上がる算段だ。
 去年は隣近所におすそ分けして絶賛だった。今年のリクエストも来ているが、「今年は全然釣れない」と煙幕を張ってけん制している。

2023年01月05日