季節ハタハタ釣り苦戦日記(2020年)前編

11月28日

 秋田県水産振興センター(男鹿市)から、この24日に季節ハタハタ漁の予測が発表された。それによると、初日は12月3日前後の三日間となっている。昨年は11月24日となっていたから十日ほど遅れる予想だ。季節ハタハタ漁に先行して、すでに底引き網漁が解禁されているが、漁獲量は昨年比で1割程度と絶不調らしい。獲れるハタハタも1年魚が主体と言う。それに比べて山形県沖では3歳魚がほとんどで、それも例年以上に好漁が続いているようだ。


 秋田県水産振興センター(男鹿市)の発表は男鹿市周辺海域を対象とするもので、県南、庄内地区はそれから多少遅れる。去年の例だと、男鹿地区の季節ハタハタは予測から2日遅れて11月26日に来ている。県南の金浦、象潟は11月27日とほぼ同時だった。酒田北港も2~3日遅れでやって来ている。
 季節ハタハタは時化に乗じて大潮の滿汐に乗って深夜に接岸すると言われている。大潮前後の時化が狙い目だ。新群れに出会うなら未明を狙う方が確率が高い。昨年は暖冬で、未明でも道路が凍結すすることもほとんどなく、釣行はすこぶる楽だった。夜の雪道に車を走らせるときは神経を使う。今年は、道路事情が良ければ空振りでも情報が出る前から通ってみようと思っている。新群れに当たったときの快感は何物にも代えがたい。

 漁業予測から考えると、大型魚が期待できる庄内浜が狙い目だ。となると、酒田北港になる。地元漁港にも接岸する可能性はあるが、季節風がもろに吹き付けるのでなかなか竿を出せる日がないのが実情だ。鳥崎、女鹿は釣り場が狭すぎる。やはり、酒田北港の長い水路が一番安心だ。200~300人は竿を出せる。
 秋田県南地区だが、昨年は象潟と西目は立ち入り禁止だった。象潟はルールが守られて禁止場所に立ち入る人はほとんど見えなかったが、西目は二重三重の塀を乗り越えて、大勢の釣り人が入り込んでいた。やはり、県南なら昨年大釣りしたこともあった金浦が本命だ。まず、飛蚊港に来て、それから港嶋にもやってくる。昨年は、港内どこでも釣れた日もあった。
 本荘マリーナの混雑ぶりは常軌を逸している。安全な釣り場だし、駐車場も広い、そして毎年のように大群がやってくる。混雑さえ我慢できるなら一番の釣り場だ。しかし、私はまず行くことはしない。

 自製のサビキ仕掛けもほぼ作り終えた。船釣りのアジ、イサキ釣りに使った残りのハリなので大振りだ。これでだめなら市販のサビキにしようと思っている。ワーム仕掛けと餌釣りの仕掛けもほぼ揃っている。居残り組はこれで攻略だ。さ~て、初日を何時にするか、まだ決めかねている。

 昨日、酒田港のマイワシ釣りに4度目の挑戦。自製仕掛けの試し釣りを兼ねての釣行だった。しかし、スレたイワシは思惑通りには行かなかった。まず、天候だ。日が射していた。さらに、風がないために海面は波っ気なし。コマセに群がる魚たちが良く見える。と言うことは、彼らからもこちらが良く見えていると言うことだ。潮が動き出した時合には良型のイワシが突っ込んでくるもハリがかりしない。ところが隣のお母さんには良くかかるのである。イライラが募る。
 仕掛けをとっかえひっかえやってみたがいずれも不発。写真の通りの貧果。帰りにホームセンター(チャンピオン)に寄り、常連さんが教えてくれたミックス6号のサビキを購入。ミックス5号は売り切れだった。本当はそれの方がよさそうなのだがしょうがない。まもなくハタハタ釣りが始まる。酒田北港でのハタハタ釣りが不調な日に、これでイワシ狙いだ。


12月2日 季節ハタハタ釣りの情報源

 季節ハタハタ釣りの開始時期が迫ってきている。各地の情報が気になってしょうがない。そこで情報収集に励むことになる。我が釣友の多くはハタハタ釣りを釣りだと思っていない。ハタハタスズキは釣りに出掛けるがハタハタなどは眼中にないらしい。彼らからの情報は期待できない。いや、毎日のようにハタハタを釣りに行くなどと言いづらい。結局インターネットの検索だよりになってしまう。

秋田県県北
 ハタハタ釣りは秋田県の県北から始まる。秋田音頭にある「八森ハタハタ」の八森方面が最初だ。まずは、上州屋能代店の情報サイトにアクセスする。上州屋も、新聞社などと同様公器的要素が強いので釣り場に関してはボカした表現になるが、来たかどうかは読み取れる。

男鹿方面
 次にやって来るのは男鹿方面。この地域なら上州屋秋田店と外旭川店の釣り情報だ
 すごく参考になるのが男鹿の魚屋さんのHPだ。はたはた日記|はたはた通信社|男鹿海洋物産 。

秋田県県南
秋田県の県南地域は、上記の各情報プラス上州屋酒田店のHPから読み解く。

酒田北港・庄内浜
 そして、最後のランは酒田北港になる。以前は、トミヤマの情報が迅速かつそのものズバリで重宝していたが、店主が急逝してからは釣り情報のUPがなされていないようだ。そうなると、やはり頼みの綱は上州屋酒田店だ。ここは、個人あてに情報をメール配信してくれているらしいが、私は利用していない。

地方紙
 後は、ローカル紙だ。
 秋田魁新報はハタハタ好きの県民を抱えるだけに結構詳しい記事が掲載される。私には生まれ故郷の記事が読めるので毎日アクセスしている。
秋田魁新報電子版(さきがけ電子版)|秋田のニュース・情報サイト:
https://www.sakigake.jp/

山形新聞も酒田北港に新群れが入ると記事が出る。
やまがたニュースオンライン|山形新聞 :
https://www.yamagata-np.jp/


12月5日 秋田魁新報の連載ルポ

 新聞社の電子版は有料記事がほとんどを占める。それでも、各社無料会員の登録制度を設けていて、日経新聞は無料会員登録すると月に10本までは無料で読むことができる。
 季節ハタハタの記事では見逃せない秋田魁新聞も無料会員登録をすると一日に1本だけ有料記事が無料で読めるようになっている。
その秋田魁新聞に、ハタハタの本場秋田県ならではの記事が連載されている。「ルポ 季節ハタハタ」と題して、県内の主な漁場を直接取材している。これは目が離せない。

閑話休題

 昨日から餌釣りの仕掛け作りに入っている。3本バリの胴付き仕掛けである。ハリは秋田ソデ8号。ヤマメバリだ。ハリスは1号、幹糸1.5号。夜光パイプが残っていたので、チモトに差込んで使っている。餌はオキアミS。
 今年はケミ蛍も準備した。暗いうちは効果がありそうな気がする。昨年準備して使わなかったが「集器」も試してみるつもりでいる。随分昔になるが、カワハギ釣りで流行ったことがあった。つまるところは反射板で、貝や鏡面を持つ金属板を加工したもので、ヒラヒラと踊り、カワハギの好奇心を誘うというものだった。
 道具も心の準備も出来ているのだが、ハタハタはやってくる気配がない。強い季節風、横殴りの雪、そして雷、その後に季節ハタハタはやって来る。だが、今年はずっと穏やかな天気が続いている。


12月7日 男鹿相川漁港に季節ハタハタ第一号

今朝の秋田魁新聞の「ルポ 季節ハタハタ」の記事からの抜粋である。待望のニュースだ。

 凪が続いた日本海も、夕べから荒れ模様だ。秋田沖には海上風警報が出た。「いよいよかな」と思いながら眠りにつく。そして、今朝の秋田魁新聞の電子版を開くと「男鹿市北浦相川漁港の季節ハタハタ」の記事が。読み進むと、メスの三歳魚が1尾となっていた。期待が大きいだけに拍子抜けしてしまったが季節ハタハタ到来の予兆であることは紛れもない。胸が高鳴る。朝飯を食ったら、自宅から車で30分もすれば行ける秋田県県南の釣り場を覗いてみようと思っている。もちろん、季節ハタハタの釣り道具一式を積んでである。

 今年の季節ハタハタの道具入れは2個になった。一個はサビキ釣り用。もう一個は餌釣り用とワーム釣り用だ。移住早々購入したクーラーボックスに寿命が来て、一回り大きいのを新調した。これなら20キロはゆうに入る。車のトランクには青いコンテナが1個入れてある。後は、町のゴミ袋を何枚か入れれば準備OKだ。昨年の大当たりだった日には、クーラーボックス、布バケツ、町のゴミ袋各1個にパンパンに詰めて帰った。まだまだ釣れ盛っていたが、入れ物が無くて竿を畳んだ経緯がある。あんなことは年に1回あるかないかだが、それを夢見て今年は入れ物も余分に準備する。
 あとで思うのだが、どうも私にはハングリー精神に欠けるところがある。絶好のチャンスなのに、大抵「まあいいや」と途中で切り上げてしまって、とことんやると言うことがないのだ。山形からアジの徹夜釣りでやって来る二人組のうちの一人はハタハタ釣りにも執念を燃やす。水中集魚灯を装備し、昼夜なく、時を忘れて釣りまくる風だ。30キロ釣った、50キロ釣ったなどと平然と語る。私にはこの執着心がなかった。去年のことだ。2~3人しか釣り人がいないなかで、せっかく群れを見つけたのに雷がなりだしたのですぐ退散してしまった。大当たりの時も、入れ物がいっぱいだと自分を納得させて引き上げた。だが、今年こそは、チャンス到来ならとことん釣りまくるつもりでいる。が、自信はない。

 たくさん釣ってもタハタの処分に困ることはない。季節の野菜を頂く隣近所、家内の体操仲間、秋田県内陸部にいる中学の同級生、親戚へのおすそ分け、そして、ぬか漬け、鮓などの保存食つくり。放精したオスは開いて天ぷらやフライにすると結構いける。面倒だが、開いて冷凍しておくとこれも大事な食材になる。特にお薦めなのがぬか漬け。糠~ハタハタ~塩+ザラメ+唐辛子~糠~・・・と重ねて樽に漬け込む。一月もすると、発酵の力でうまみ成分が増し、水分が適度に抜け味が凝縮し、絶品となる。


12月8日  西目漁港でも水揚げ

 西目漁港と男鹿方面で季節ハタハタ初漁 

 12月6日西目漁港で季節ハタハタの初漁があった。量はわずかで1.2キロほど。斥候隊だ。それでも、2歳魚、3歳魚と大振りで期待が膨らむ。12月7日には男鹿でも季節ハタハタが上がった模様だ。いよいよシーズン開始も間近に迫っている。
 昨日あたりからここ庄内の海は時化ている。陸ではそれほどでもないが、沖合はかなり強い季節風が吹いているに違いない。季節ハタハタは体を持って行かれそうな強烈な季節風と一緒にやって来る。毎年、横殴りの雪を顔に受け、水っぱなをすすりながらの釣りになる。

 狙いは、12月14日前後か

 気になるハタハタ起こしの季節風だが、天気予報は12月14日(月)から雪混じりの強い季節風が吹き始め、12月18日(金)までそれが続くとなっている。潮回りも良い。12月14日から16日までが大潮。本隊が接岸する確率は極めて高い。
 先発隊は、その前から接岸する可能性があり目が離せない。


12月9日 象潟、金浦漁港を覗いてみれば

 象潟漁港
 西目漁港で、わずかだったが季節ハタハタの初漁があったので気になってしょうがない。昨日の夕方、秋田県県南地区の漁港の様子見に出掛けてみた。家を出たのが午後4時ごろ。すでに車のスモールランプが自動で点灯する暗さだった。象潟までは20分ほど。水路の東側に出る。小型重機が護岸の内側に置いてある。水路の入り口は、両側とも護岸工事中だった。灯台の前のあたりには例年通りロープが張られたらしく、ブイが点々と水面に浮かんでいる。沖は暗くて網が入っているかどうかは分からなかった。港内をぐるりと回り、灯台側への通路に出る。障害物がガッチリと道をふさぎ、そこに立ち入り禁止の看板が貼りつけてある。昨年に続き、今年も灯台周りの一級ポイントには入ることができないようになっていた。
 この近くで、何年か前に漁業関係者と立ち話をしたことがあった。季節ハタハタの時期になると、波止はサビキの残骸、サビキの台紙、空き缶、空き瓶、食べ物が入っていた袋などで足の踏み場も無くなる。そのために、毎日のように掃除をしていると言う。また、乱雑に停めてある車は漁師の通行に支障をきたしているとも言う。これは何も象潟漁港だけの話ではない。どこの港も同じような状況だろう。
 空にカモメの姿を探したが、たまに視界を横切るだけだった。

 金浦漁港
 昨年、ここ金浦漁港には一時大群が入り込んで大盛況が続いた。私も3時間ほどで数百匹も釣り上げる。これは自己最高記録だった。この時は、まだ釣れ盛っているのに、あまりの猛攻に飽きてしまって、途中で竿を畳んだような次第だ。
 港嶋に着いた時にはもう辺りが暗くなっていた。水路の対岸にヘッドランプを点けて移動しながらシャクリを繰り返している釣り人が一人いた。様子をみるもハタハタは掛かってこない。私が車を停めた並びに5台他の車が停めてあったが、竿を出している人は他に見当たらなかった。漁協の方に行って見る。駐車を規制する柵列が整然と並んでいた。竿を出しているような人影は見当たらなかった。
 飛文港には5~6台の車が停まっていた。車から出て立ち話をしているのが一組、竿を出しているのが一人、あとは車の中にいるらしい。ここの釣り人にもハタハタは掛かっていなかった。もう辺りは真っ暗で、これから西目漁港に向かうには遅すぎる。ここでユータンだ。

 去年の西目漁港は、沖の潮がぶつかる一級ポイントの波止が立ち入り禁止になっていた。それでも、二重三重の防護柵を掻い潜り、数十人を超す釣り人が入り込んでいた。おそらく、今年も立ち入り禁止の柵は撤去されてはいないだろう。漁業者側の気持ちもわかるが、年に一度の祭典だ。隣接して広い空き地があったりする。そこを臨時の駐車スペースにして漁業者の邪魔にならないようにするとか、両方に良いようなやり方はないのだろうか・・・。もちろん、我々釣り人のマナーの向上が大前提だが。


12月10日 待ちきれずに二度目の釣り場巡り

朝食を済ませ、季節ハタハタ釣りの道具一切を積み込んで秋田県県南地区の釣り場へと向かった。

 象潟
 水路入り口東側の路上に車を停め、写真を撮る。灯台の沖で季節ハタハタ漁の船が一隻操業中だった。例年盛期には空に夥しい鴎が群舞する。今朝はカモメの姿がない。

 水路の入り口付近は両側とも護岸工事中だ。車を停めた東側には作業員の姿がなかったが、向かい側には作業員の姿があった。

 漁協を通り過ぎて灯台側へ通じる路を辿ると障害物が道をふさぎ、立ち入り禁止の大きな看板が立っていた。

 金浦
 港嶋の水路を跨ぐ橋のたもとに車を停めたら、ちょうど若者4人組が竿を片手に帰ってきた。季節ハタハタの影も形もなかったようだ。
橋から港内を見渡しても釣り人の姿はなかった。

 飛蚊港にはシーズンインを思わせる車が並び、波止には30~40人の釣り人の姿も。しかし、竿は出しているものの大抵は置き竿にして談笑だ。傍にいた釣り人に聞くと「昨日は午後に釣れた」らしい。「今日は誰にも釣れていない」と言うことだった。波止に沿って海中をのぞき込んで歩いたがハタハタの姿はどこにもなかった。ハタハタは潮の流れに乗って港内に入ってくるが、潮は全く流れていなかった。
 帰路に再び覗いてみた。午前10時半ごろだった。人数は朝の半分ほどに減っていた。依然として魚が釣れている様子はなかった。

 西目
 三重の防護柵が設けられ、立ち入り禁止の看板がある波止は人っ子一人見えなかった。港内も無人だ。

 本荘マリーナ
 まばらだが釣り人の姿があった。大抵は車の中で様子見だ。まだ季節ハタハタは姿を見せていない。


12月11日 金浦漁港で竿を出すも

 今朝は2時に目覚めて、床の中で季節ハタハタ釣りに出掛けるかどうか思案をしていた。ところが、屋根に叩きつけるような雨の音が。これではしょうがない。諦めて布団に潜り込む。
 そして先ほど、いつものように電子版の秋田魁新聞を開いてみる。ハタハタの本場のローカル新聞だけあってルポ季節ハタハタの記事には力が入っている。今朝は心躍る記事が掲載されている。
 10日の状況だが、西目で270キロ、金浦60キロの水揚げとあった。本隊が来るとトン単位の水揚げになるので、まだまだ斥候隊、先発隊のレベルだが、朗報だ。9日には象潟でも3キロの水揚げがあった。秋田県南地区は、いよいよ本番間近だ。今日は朝飯を食ったら出掛けるつもりでいる。
 それにしても気になるのが「新型コロナ」だ。ハタハタ釣りは「密」の典型だ。肩幅間隔で割り込みが入るから、屋外だからと安心してはいられない。それに、日曜日ごろまでは風もほとんど吹かない予報だ。釣りの最中はマスクを着けるようにしようと思っている。そのマスクだが、使い捨ての不織布製のものは水分を吸収してくれないので使っているうちに濡れてきて冷たくなる。吸水性が良い家内手作りの布製マスクを着けるつもりだ。
 昨日の釣り場巡りではどこでも釣れていなくて竿はださずじまいだった。さて、今日はどんなことになるやら。

秋田魁新聞12月11日版から転載

追記:
 ボウズで、金浦から先ほど帰宅。今朝は、地元のおっちゃんもおばちゃんも姿が見えなかった。ハタハタの季節になると顔を合わせる象潟の住人がいた。一昨日は釣れたが昨日はダメで、今朝も気配がないと言う。一昨日は、大きいのは30センチ近いのもあったと、ドキドキするような話をしてくれた。駐車スペースの近くの人々は立ち話だ。竿を出しているのはわずかに二人だけ。象潟の住人は早々に引き上げていった。私は潮が差してくるのを期待して待つも、海面に変化なし。7時半ごろに竿を畳む。

2023年01月03日